一釜一回分の使用天草は乾燥重量にして、 260kgから270kg使用します。
当工場では、 淡路(兵庫)・大分・和歌山・愛媛・千葉・
韓国・インドネシア・モロッコ・アフリカの厳選した天草を
使用し製造しております。
今年度は使用しておりませんが、高知、長崎、知多(愛知県)、
三重、伊豆(静岡)、徳島、熊本など、天草の質・量・価格を
精査し購入します。
使用天草の産地・特徴
ゼリー強度が出る天草
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粘り・糊分の出る天草
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大分県 |
兵庫県
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和歌山県 |
愛媛県
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アフリカ *1 |
千葉県 |
モロッコ *1 |
韓国 |
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インドネシア |
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『粘り・糊分がある天草のみを煮熟すると、
糊分が多すぎ、ろ過がしにくくなります。
その為、当社は強度が出る天草とブレンドしています。
また、多品種の原材料をブレンドする事により品質が
安定し、癖の無い寒天が出来ればと思っています。』
*1 輸入天草の配合比率が多い場合、強度は上がるものの、
粘度は低下すると考えられます。
工程 1. 配合した天草の塩分・貝殻・土砂などを除くため、
水槽に水を入れ約20時間水浸させます(PH 7〜 PH 8)。
*当工場では、水浸時と洗浄時に使用する水は、山岡町の自然に
囲まれた地下100m(PH 6 〜 PH8 )から汲みあげた
地下水を使用しています。
工程 2. 洗浄機(プール式洗浄装置)に天草を移し入れ、約1時間洗います
(洗浄後 PH 5 〜 PH 8)。
*工程1・2が大切です。浸水させる時間が短い・よく洗われていないことで、
天草に含まれるアクなどが残り、煮熟後に濾過されたところてんは、
黒みがかかり、出来上がる細寒天に影響します。
工程 3. 釜に水道水(PH5 〜 PH7)を入れ(約4t)一度お昼前に
沸騰させておきます。
夕方、再度釜を沸騰させ、洗浄をした天草を釜に投入し、
約1時間炊き込みます。その後、火を止め約13時間、
釜の中でじっくり寝かします。
※炊き込み不足・炊き過ぎによる吹きこぼれ等、
集中力・経験が必要とされ、この作業で寒天の
強度・粘度・融点に影響し、寒天作りで最も重要な作業です。
※煮熟時に天草の外皮を壊し抽出を容易にする為に硫酸を
添加しますが、原料の天草は、付着又は含有されるカル
シュウム等のアルカリ成分が中和され、次の濾過工程で
分離され天草濾宰中に吸収されて大部分は濾別されます。
更に干場で数日間繰り返される、凍結・融解・乾燥の
過程で流下・除去され製品には残留しなくなります。
工程 4-1 濾過袋に汲み出し、押しぶた・石をのせ搾り出します。
約4時間後、地下タンク(台舟(だいふね))に天草を
煮て抽出された液体(主にアガロースとアガロペクチン)
が溜まります。
※濾過袋に残った天草カスは肥料(田畑・山林など)となります。
また、豚の餌に寒天カスを混ぜ、豚に与える事で肉質が良くなり、
「寒天豚 (かんてんトン)」のネーミングで販売されています。
寒天カスにはミネラル等が含まれている為、他に鶏など
動物の餌としても使われています。
◎ アガロース・・・ゲル化(高い粘性を持ち、流動性を失い、
系全体としては固体状になったもの)しや
すい中性多糖。寒天の強度にかかわる。
◎ アガロペクチン・・・寒天の成分である多糖の一つ、
アガロースと同様である。アガロースに
少量の硫酸とピルビン酸が結合したも
ので、寒天の弾力性にかかわる。
*天草カスです。トラックに乗せ田畑に散布します。
この時点で細寒天の大まかな強度が推測されます。
濾過袋から出す際、原形を留めない天草カスの場合は、
当社では強度が480gc以上と推測できます。
工程 4-2 替え越し作業→ポンプを使い凝固舟(小舟)に寒天液を
移し入れ、室温で18〜20時間静置して固めます。
※凝固舟 → プラスティック製(38×89×15cm・容積50L)
☆ ゼリー強度の一定化について
濾過された寒天溶液は、時間が経つにつれ、下層部に強度が
高い・上層部に強度が低い、寒天溶液となる傾向があります。
寒天溶液を、当社では下層部から、ポンプで凝固舟に
汲み上げる為、最初の凝固舟の強度は高く、最後の凝固舟の
強度は低くなる傾向がありました。
汲み上げる間際に、「かき混ぜれば?」と提案がありましたが。
旧工場では、粗固(ぞこ→粗悪な沈殿物)が出る事により、
かき混ぜる事で粗固が全体に拡散してしまい。かき混ぜると
いう行為が、出来ませんでした。
しかし、新工場において、地下タンクと絞り枠をステンレスに
変えたところ、『粗固』が極少量となり、寒天液をかき混ぜた後、
凝固舟に移し入れる事が出来る様になりました。
これで課題とされていた、強度の一定化が出来るのでは
ないかと思っています。
工程 5. 翌朝、凝固したところてんを、28本の角柱に裁断し。このまま屋外の
干場へ運びます。
(下の写真は、切断に使用する道具です。)
工程 6. 天突き作業→よしずの上へ羊かん状に切ったところてんを
天筒で突出し、手で同じ厚みとなるよう広げます。
※天候状態により、一度も凍結されていないところてんは、
ハナ焼け・黄ばみの原因となるため、シートで対策を施したり
こまめに水をかけ、良質な細寒天が出来上がるよう心がけています。
ハナ焼け→ところてんの状態で日差し又は風で
水分が飛ばされ、細寒天の1本1本の
先が飴状になる事。
使用の際、かたまった箇所は
溶けにくい寒天となってしまいます。
*外気を利用して、凍らす事が容易では無いときには、
冷凍機を利用し凍結させます。
ここ数年、”暖冬傾向”が顕著に表れています。
その為、冬場でも冷凍機を使用しなければ良い細寒天が出来ない
気候になっていると感じております。
天候状態(夜は冷え込みが弱く、日中は晴れ・気温が高い)よっては、
ところてんが傷んでしまう為、手作業で時間をかけ、冷凍庫(‐25℃〜-35℃)
に運び入れます。
≪製造工程7−9≫
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